今回は⑨耐火です!
今回は、特にお伝えしておきたい事があるんです。
性能のバランスという、なんとも歯がゆい業界のカラクリを後半にお伝えします。
耐火とは
耐火とは、火に対して建物が耐えられる能力を耐火性能と言います。
耐火と言っても、外的要因と内的要因があります。
例えばお隣が火事になって延焼を受けるのは外的要因で、コンロやストーブなど屋内から出火するのは内的要因です。
建物火災の件数は?
火災は、建物火災で言うと年間約21,000件
その原因で分かったもので多いのは、たばこ、焚火です。
分類はハッキリしていませんが、総務省の統計によれば、火災は減少傾向にあります。
とは言え21,000件。
さらに関わり無いとは言えない火災
さらに関わり無いとは言えない火災
林野火災の1,600件
車両火災の3,600件
を含めば25,200件
これを多いと捉えるか少ないと捉えるか。
さて、この火災、何が怖いか。
もちろん1番は人の命に関わる事ですね。
外的要因で言えば、外からの延焼を建物の外部がいかに守ってくれるかが重要ですが、これは建築基準法が定めた耐火能力資材により、概ね守られるとしています。
外的要因で言えば、外からの延焼を建物の外部がいかに守ってくれるかが重要ですが、これは建築基準法が定めた耐火能力資材により、概ね守られるとしています。
また、内的要因で言えば、これもまた燃え広がりにくくするような建築基準法が定められていて、さらには火災報知器の設置義務によって、今では必ず規定ヶ所に報知器を設置して、いち早く出火を知らせるように考えられています。
しかし、熱伝導による出火もあります。
外壁は焦げただけかと思えば、躯体が炭になっていたり、断熱材の発火点が低ければ燃えてしまいます。
そうなれば、火災修繕費はそれなりにかかってきます。
よく聞くのは、焦臭が残っていて、修繕しても住み難くなってしまったという、火災修繕の弱点があります。
これ、実は焦臭が問題ではありません。
火災保険です。
皆さん、住宅は必ずと言って良いくらいに火災保険に加入されますね。
この保険料の査定によって、なかなか修繕費も行き届かない保険金だったりします。
当然ですが、保険会社は保険金が支払われる時に査定を行いますが、保険会社も商売。
契約約款には基づくものの、なるだけ出金したくない心情はあるはずです。
そうでなければ、読み切れないほどの約款は必要ないでしょう。
ですから、火災保険を掛けるときは、掛金のお値打ちさよりも、有事の時の保険料の支払い能力で選ぶと良いでしょう。
あれ?
耐火性能のコラムでは?と思った方もいらっしゃると思いますが、耐火性能は、有事の時の保険金が重要だという事なんです。
基本的に耐火は、建築基準法が定めている規定なので通常なら、この基準に従う事がセオリーと言えます。
省令準耐火構造と火災保険の関係
では、建築基準法には法るが、更に耐火性能のグレードを上げることはできないものだろうか?
とお思いの方には、省令準耐火がお勧めです。
省令準耐火とは、建築基準法が定めている中で、更に耐火性能を良くする規定です。
この省令準耐火は、通常より耐火性能を上げるので、一般的な仕様と違う資材や施工により基準を上げます。
それは、より一層燃え難い能力を建物に備えると言う事なんです。
しかし、省令準耐火を求める方の多くは、きっかけが火災保険だったりします。
理由は保険料。
保険業にとって、保険金の出金額が低くなる可能性は保険料を安くします。
車の保険もそうですよね?
自動車免許取得したての方と、長年無事故無違反の方とは保険料は雲泥の差が生まれます。
それと同様に、火災保険も消失範囲によって支払われる保険金が変わります。
近年、情報伝達や消火車両の配備が行き届き、消火スピードが早くなっているようですが、気候や環境によっては消火に時間がかかる事もまだまだあります。
建物が燃え広がる範囲は耐火性能だけでは測れないと言えます。
しかし、省令準耐火は、一般的耐火能力から更に耐火性能を上げた仕組みです。
燃えにくいイコール保険会社は保険金額が抑えられる。
あ、でも保険金は建設費用から算出した査定額ですから、省令準耐火で保険料が安くなっても査定額は同じです。
お待ちどうさまでした。
いよいよ、歯がゆい話になります。
もし、貴方が建てた省令準耐火性能のお家が火事になったとします。
燃えにくいので、半焼で済みました。
その時の保険料は、リフォーム費用から算定されます。
いわゆる修繕費です。
え!半焼ならもう建替えでしょう?
と思いきや、そうはいかない事しばしば。
当然、保険料を払っている貴方は、少しでも多くの保険金の支払いを期待しますが、保険会社からすれば支払額は抑えたいですね。
この様に、考えると安くなった保険料と省令準耐火構造は心情的に天秤にかけられてきませんか?
省令準耐火構造にしなければ燃えやすくなるわけではありませんが、省令準耐火構造にすると、費用は別途追加建築費になる建築会社が多いです。
更には火事が起きた時の消火スピードにもより建物の消失度合いは変わってきます。
おさらい
耐火性能は火災保険料が安くなるだけの視点で見るのは非常に危険と言えます。
更に言えば、省令準耐火構造を決めるのは確認申請提出前、火災保険料を決めるのは、お引渡し頃。
この点から、最初の設計段階、あるいは見積り段階で、この事案の検討を伝えてくれる建設会社が良心的と言えるでしょう。
それでは、皆様が後悔しない夢の家づくりを叶えられますように。